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伝書鳩フォーラム報告

伝書鳩フォーラム参加報告

 去る1月22日(日)、大阪市役所ロビーで開催された伝書鳩フォーラムに、さとうひさゑ実行委員長が参加しました。このプレゼン大会を聴講してきましたので、報告致します。
 フォーラムの目的は、
評価こそ確立していないものの、アーティスト、アートスペースーオーナー、アートプロジェクト運営スタッフなど、様々な形で真摯に活動に取り組んでいる若手表現者達に発表の場を設けることで、若年層の芸術文化に関わる層全体の底上げ、相互間の交流促進を図ると同時に、広く一般市民に芸術・文化に対する理解を深めてもらう事

とのことでした。
 発表者は、
【アーティスト】奥中章人(美術家)/紺田達也(写真作家)/塩見ちひろ/(イラスト作家)/CHIAKI(絵描き)
【場所づくり】ArtYard/(フリーマガジン・アート&イベントスペース運営)/ギャラリーSOZO(個性的企画ギャラリー)/ギャラリーアビィ/(“育てる場所”としての写真ギャラリー)/藝育カフェSankaku(奈良で展開する“藝育活動”)
【機会づくり】音叉(大阪京都連動協同企画公募展)/からほりまちアート(空堀商店街界隈アートイベント)/とんぼりワッショイ(ステージ&フリマイベント)/FLAG(英文アートガイド紙)
【地域系アートプロジェクト】淡路島アートフェスティバル/天若湖アートプロジェクト/奈良アートプロム/西宮船坂ビエンナーレ/

といった面々で、それぞれが10分ずつプレゼンテーションを行い、コメンテーターがコメントするというものでした。

 やはり場づくり、プロジェクトづくりに関わっている人の話にはなるほどと思わされるところが多くありました。個人的には、ギャラリーアビィ、藝育カフェSankaku、FLAGの実践は印象に残りました。

 地域系アートプロジェクトの企画運営に関わる人が多く参加していたのが今回の特徴だと思います。

 「からほりまちアート」はそうしたプロジェクトの先駆け的な著名な事例でしたが、昨年度の第10回を節目に幕を下ろしたとのことでした。コアスタッフの固定化や、回を重ねるにつれ「らしさ」に拘束されるようになってきたことから、まちに関わっていくにせよ、あり方を一新しよう、ということになったとのこと。運営の苦労がしのばれました。

 「西宮船坂ビエンナーレ」は、武庫川女子大学の学生の方の発表でした。とてもわかりやすく、企画にきちんと関わる学生がいることを心強く感じました。
 地味なプロジェクトですが、都市から奥まったところにある里山地域でのプロジェクトということで、「天若湖アートプロジェクト」とも共通点があります。

 興味深く思われた点は、第1には「地元ラン」型のプロジェクトだったということ。過疎地域の地元住民グループが中心になって企画運営を行ったというところ。これはなかなかないことだと思います。2010年度は近畿でも地域系アートプロジェクトが多数開催されたので、これからは地元のアイディアとしてそういうものが出てくることも増えてくるかもしれません。大学の研究室がハブとなってアーティストを招聘したそうです。これは「天若湖アートプロジェクト」のスタイルに比べるとむしろオーソドックスなものだと思います。

 2つ目は、アーテイストによる地域のものの扱いに関する議論があった点です。小学校の校長室を扱ったアーティストが何人かいて、その一人が歴代校長の写真を「らくがお」化したというのです。それがさまざまな波紋を呼んだということですが、そういう議論が起きること自体が大事だと思いました。またそういう議論があったことが、こうして外部に報告されているのも良いと思いました。地域系アートプロジェクトでは、地域資源を「よいもの」としてプロモートしてしまうことが多いように感じますが、議論やコミュニケーション惹起し、地域のものを改めて見つめ考える機会を与えることは、アートの仕事としてより大切なことなのではないかと思うからです。

 「天若湖アートプロジェクト」については、さとう実行委員長より、きっかけと経緯、「あかりがつなぐ記憶」について、観覧者の感想、地域との関わりと課題についてなど、プレゼンテーションがありました。コメンテーターからは、毎年同じ「あかりがつなぐ記憶」をすることのマンネリ化や、継続の難しさについてのコメントがあったように覚えています。さとう委員長からは、10年を経た時点で流域の文化として継承されていくようにしていきたいとの回答がありました。

 時間が押してしまいディスカッションの時間がなくなってしまったのが残念でしたが、「伝書鳩」にはさまざまな人々が集まり、多くの刺激を受けました。今回の参加によって、同様の志を持つ人たちと会えたこともあり、「天若湖アートプロジェクト」の関西のアートプロジェクト界でのプレゼンスも微増(?)したのではないかと思います。

(文責:下村泰史)

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by amawakaap | 2011-02-01 13:02 | 行ってきました!

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